起立性低血圧時の薬

【薬】

・ドロキシドバ(ドプス@):採用あり

・エチレフリン(エホチール@):採用あり

・ミドドリン(メトリジン@):採用あり

・アメジニウム(リズミック@):採用あり

【違い】

・ドロキシドバ(ドプス@)

剤形:内服

作用機序:ノルアドレナリン前駆体物質。体内で代謝されノルアドレナリンになりα受容体を刺激する。ノルアドレナリン製剤は注射しかないため、経口から摂取できるよう開発された製剤。

適応:

パーキンソン病(Yahr重症度ステージⅢ)におけるすくみ足、たちくらみの改善
 ・シャイドレーガー症候群、家族性アミロイドポリニューロパチーにおける起立性低血圧、失神、たちくらみの改善
 ・起立性低血圧を伴う血液透析患者における めまい・ふらつき・たちくらみ、倦怠感、脱力感の改善

禁忌:

・本剤に対し過敏症の患者
・ 閉塞隅角緑内障の患者[眼圧を上昇させる。]→カテコールアミンの作用的に
・カテコールアミン製剤を投与中の患者→同行薬のため作用増強
重篤な末梢血管病変(糖尿病性壊疽等)のある血液透析患者[症状が悪化するおそれがある。]→血管収縮で血流循環が悪くなるから?

エチレフリン(エホチール@)

剤形:注射(採用あり)、内服(採用なし)

作用機序:α、β受容体作動薬

適応:起立性低血圧、各種疾患若しくは状態に伴う急性低血圧又はショック時の補助治療

禁忌:過敏症の患者

その他:透析患者でドプス→アメジニウム→エホチールの順に昇圧剤の投与例あり。

ミドドリン(メトリジン@)

剤形:内服

作用機序:α1刺激薬

適応:本態性低血圧、起立性低血圧

※透析患者における適応なし

禁忌:

甲状腺機能亢進症の患者[甲状腺機能亢進症の患者は、ノル
アドレナリン等と類似の作用を持つ交感神経刺激薬により過度
な反応を起こす可能性が知られている。本剤は、薬理学的にこ
れらの薬剤と同様な反応を起こすおそれがある。]
・褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者[褐色細胞腫又は
パラガングリオーマの患者は、カテコールアミンの過剰放出が
あり、本剤が病態を悪化させるおそれがある。]

アメジニウム(リズミック@)

剤形:内服

作用機序:ノルアドレナリンの再取り込み阻害、不活化抑制によりのあるアドレナリン作用の増強

適応:本態性低血圧、起立性低血圧、透析施行時の血圧低下の改善

禁忌:

・高血圧症の患者[高血圧症を悪化させる。]
甲状腺機能亢進症の患者[甲状腺機能亢進症を悪化させる。]
・褐色細胞腫又はパラガングリオーマのある患者[急激な昇圧発作を起こすおそれがある。]
・閉塞隅角緑内障の患者[急激な眼圧上昇をきたすおそれがある。]
・残尿を伴う前立腺肥大のある患者[尿閉をきたすおそれがある。]

「まとめ」

・エホチールはアドレナリンの経口投与可能製剤だが、神戸中央病院では注射薬のみ採用。当院で血液透析患者に使用している1例を発見。透析中の血液低下に対しドプス→アメジニウム→エホチールの順に使用。ドプス、アメジニウムで効果不良のためエホチールでの血圧管理になった。昇圧剤としては強めの薬なのかもしれない。アドレナリンと作用はほぼ同じと思われるが(強さは不明)、エホチールは起立性低血圧に対して適応があり、アドレナリンはなし。この違いがエホチールが基本昇圧剤として使用するメリットなのだろう。ほかの昇圧剤はα刺激作用があれどβ刺激作用(強心作用)はなし。

メトリジンは透析による低血圧の適応なし。透析での昇圧剤はドプス、アメジニウム、エホチールの3剤となる。

・本態性低血圧への適応はアメジニウム、メトリジンのみ。起立性でなければドプスやエホチールは使えない。

・透析をしていない、かつぱPDが既往にない原因不明の低血圧に対してはアメジニウムかメトリジンが選択肢になるだろう。