消炎鎮痛薬の外用剤

消炎鎮痛薬は局所作用するものから全身移行性のあるものまで多岐にわたる。移行性があるものに対しては内服の鎮痛薬と併用しない方がよい場合があるため、外用剤の移行性、内服と併用可能か調べる

NSAIDs外用製剤】※赤字は当院採用

エスフルルビプロフェン・ハッカ油(ロコアテープ)

ロキソプロフェン(テープ)

ケトプロフェン(モーラステープL)

フルルビプロフェン(アドフィードパップ)

フェルビナク(パップ、スチック軟膏)

・ジクロフェナク(ジクロフェナクテープ、ジクトルテープ

インドメタシン 

ピロキシカム

【製剤の特徴】

「ロコアテープ」

・適応:変形性関節症における鎮痛・消炎(のみ!)

1日1回2枚まで。

2枚貼付で内服薬(フロベン)通常量投与と同程度の血中濃度を示すため。

→内服薬と併用は避ける。やむを得ず併用する際は最小限に。(大正製薬 製品FAQ)

・光線過敏症についての記載なし(添付文書)

https://www.pa-solution.net/alphascope/taisho/faq/Search.aspx?dispNodeId=1171

「ロキソプロフェンNaテープ」

・適応:変形性関節症、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛(ロコアより多い)

ロキソニンパップ100㎎1日1回貼付群がロキソニン錠60㎎3錠分3の群に非劣勢であることが示された。(貼付剤が24時間持続する?)

・1日1回(枚数制限は記載なし)

→テープ400㎎を貼付したロキソプロフェンCmax:89.2ng/ml、ロキソニン錠60㎎1錠単会投与後のCmax:5.04μg/mlで56倍の差。テープの方が血中濃度の維持時間が長いため単純に比較は難しいがあまり吸収量はそこまで気にしないでよいだろう。

・光線過敏症についての記載なし(添付文書)

https://www.medicalcommunity.jp/products/faq/drugsearch?faq_drug=loxonin_pap_tape_gel

モーラステープ(ケトプロフェン)」

・適応:腰痛症(筋・筋膜性腰痛症、変形性脊椎症、椎間板症、腰椎捻挫)、変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎テニス肘等)、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛 / 関節リウマチにおける関節局所の鎮痛

※RAや腰痛症など適応が多い!

・1日1回(枚数制限なし)

モーラステープ20㎎でCmax:135.85ng/mL、ケトプロフェン坐剤でCmax:3.71μg/mlで234倍の差がある。吸収量はそこまで気にしなくてよいだろう。内服との併用も可能と判断する。

・副作用:光線過敏症に注意!(こいつだけ?)

原因はベンゾイル基。ロキソプロフェンやフルルビプロフェンはその構造がないため光線過敏症が起きない!(詳細は以下URL)

https://hokusuikai-kinen.jp/okusuri/data/201805.pdf

・光線過敏症の対策:アレルギー反応のため起こるかどうか個人差がある。貼付終了後1週間までの報告が多数あるが、4週間先まで報告例あり。貼付終了後も4週間は紫外線を避ける。

https://www.hisamitsu.co.jp/medical/data/hisamitsu-anzentokusyuu.pdf

「フルルビプロフェン(アドフィードパップ)」

・適応:変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎テニス肘等)、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛

※ロキソプロフェンより多いがRAの適応はなし

・1日2回(枚数制限なし)

内服薬と比べ、上記2剤同様血清中濃度はかなり低い。内服薬と併用可能と判断する

フェルビナク(パップ、スチック軟膏)」

・適応:変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎テニス肘等)、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛

※アドフィードパップと同じ(テープとパップは適応同じ)

・パップ:1日2回(枚数制限なし) スチック軟膏:1日数回

内服薬と比べ、上記2剤同様血清中濃度はかなり低い。内服薬と併用可能と判断する

・ジクロフェナク(ジクトルテープ

・適応:各種がんにおける鎮痛 / 腰痛症、肩関節周囲炎頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎

※がんの適応があるのはこれだけ。逆にどれも持っている変形性関節症の適応はなし

・がん:1日2-3枚 それ以外:1日1-2枚

→1日3枚貼付でジクロフェナク内服の通常量と同程度の血中濃度。可能な限りほかの鎮痛薬の併用は避ける。(併用注意)

 

 

 

起立性低血圧時の薬

【薬】

・ドロキシドバ(ドプス@):採用あり

・エチレフリン(エホチール@):採用あり

・ミドドリン(メトリジン@):採用あり

・アメジニウム(リズミック@):採用あり

【違い】

・ドロキシドバ(ドプス@)

剤形:内服

作用機序:ノルアドレナリン前駆体物質。体内で代謝されノルアドレナリンになりα受容体を刺激する。ノルアドレナリン製剤は注射しかないため、経口から摂取できるよう開発された製剤。

適応:

パーキンソン病(Yahr重症度ステージⅢ)におけるすくみ足、たちくらみの改善
 ・シャイドレーガー症候群、家族性アミロイドポリニューロパチーにおける起立性低血圧、失神、たちくらみの改善
 ・起立性低血圧を伴う血液透析患者における めまい・ふらつき・たちくらみ、倦怠感、脱力感の改善

禁忌:

・本剤に対し過敏症の患者
・ 閉塞隅角緑内障の患者[眼圧を上昇させる。]→カテコールアミンの作用的に
・カテコールアミン製剤を投与中の患者→同行薬のため作用増強
重篤な末梢血管病変(糖尿病性壊疽等)のある血液透析患者[症状が悪化するおそれがある。]→血管収縮で血流循環が悪くなるから?

エチレフリン(エホチール@)

剤形:注射(採用あり)、内服(採用なし)

作用機序:α、β受容体作動薬

適応:起立性低血圧、各種疾患若しくは状態に伴う急性低血圧又はショック時の補助治療

禁忌:過敏症の患者

その他:透析患者でドプス→アメジニウム→エホチールの順に昇圧剤の投与例あり。

ミドドリン(メトリジン@)

剤形:内服

作用機序:α1刺激薬

適応:本態性低血圧、起立性低血圧

※透析患者における適応なし

禁忌:

甲状腺機能亢進症の患者[甲状腺機能亢進症の患者は、ノル
アドレナリン等と類似の作用を持つ交感神経刺激薬により過度
な反応を起こす可能性が知られている。本剤は、薬理学的にこ
れらの薬剤と同様な反応を起こすおそれがある。]
・褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者[褐色細胞腫又は
パラガングリオーマの患者は、カテコールアミンの過剰放出が
あり、本剤が病態を悪化させるおそれがある。]

アメジニウム(リズミック@)

剤形:内服

作用機序:ノルアドレナリンの再取り込み阻害、不活化抑制によりのあるアドレナリン作用の増強

適応:本態性低血圧、起立性低血圧、透析施行時の血圧低下の改善

禁忌:

・高血圧症の患者[高血圧症を悪化させる。]
甲状腺機能亢進症の患者[甲状腺機能亢進症を悪化させる。]
・褐色細胞腫又はパラガングリオーマのある患者[急激な昇圧発作を起こすおそれがある。]
・閉塞隅角緑内障の患者[急激な眼圧上昇をきたすおそれがある。]
・残尿を伴う前立腺肥大のある患者[尿閉をきたすおそれがある。]

「まとめ」

・エホチールはアドレナリンの経口投与可能製剤だが、神戸中央病院では注射薬のみ採用。当院で血液透析患者に使用している1例を発見。透析中の血液低下に対しドプス→アメジニウム→エホチールの順に使用。ドプス、アメジニウムで効果不良のためエホチールでの血圧管理になった。昇圧剤としては強めの薬なのかもしれない。アドレナリンと作用はほぼ同じと思われるが(強さは不明)、エホチールは起立性低血圧に対して適応があり、アドレナリンはなし。この違いがエホチールが基本昇圧剤として使用するメリットなのだろう。ほかの昇圧剤はα刺激作用があれどβ刺激作用(強心作用)はなし。

メトリジンは透析による低血圧の適応なし。透析での昇圧剤はドプス、アメジニウム、エホチールの3剤となる。

・本態性低血圧への適応はアメジニウム、メトリジンのみ。起立性でなければドプスやエホチールは使えない。

・透析をしていない、かつぱPDが既往にない原因不明の低血圧に対してはアメジニウムかメトリジンが選択肢になるだろう。

K吸着剤

【種類】

・ポリスチレンスルホン酸カルシウム:アーガメイト、カリメート

・ポリスチレンスルホン酸ナトリウム:ケイキサレート

ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム:ロケルマ

【違い】

ケイキサレートがはじめに販売。構造中のNaと消化管空内のKを交換することでKの吸収を抑制する。しかし、Naの吸収量が増えるため副作用に「浮腫」があり、Na摂取を制限するなどの対策をとるようにと記載されている。

剤形:シロップ、散

カリメートは構造中にあるCaを消化管空内のKと交換してKの吸収を抑制する。試験では血中Caの増加はなく、ナトリウムも含まれていないため浮腫の副作用もない。ケイキサレートの上位互換といってもよいだろう。剤形も豊富。

剤形:シロップ、散、顆粒、液、ゼリー

ロケルマは上記2剤と異なり、非ポリマーであることから陽イオンを交換するのではなくKを選択的に吸着する。よって、ポリマーの水で膨らむことによる便秘を抑えたり、酸化マグネシウムなどの金属との相互作用をなくすことができる。ただ薬価が5gで1包1,000円を超えるため薬価的理由で安易な処方は避けるべき。

【食事の影響は?】

実はそれほど関係ない。IFの作用機序より腸管内のKを交換、吸着するため

Kの排泄経路のほとんどは腎臓からでほんの数%は腸管へ分泌して糞便中に排泄している。この腸管内のK濃度を下げることで、腸管へのK分泌を増やし血清Kを低下させるため、食事の有無は関係ない。

医療関係者の皆様へ|ケイキサレート kayexalate.jp

【使い分け】

1.嚥下機能により剤形で選ぶ

2.併用薬により選ぶ→服用時間をずらせば解決する

3.便秘症状で選ぶ

4.浮腫の有無で選ぶ→ポリスチレンスルホン酸Ca一択

5.薬価で選ぶ→ロケルマ除外。

制吐薬について

【悪心・嘔吐の機序】

「CVとCTZ」

脳にあるCV(嘔吐中枢)とCTZ(科学受容器引き金帯)が嘔吐に関与している。CVはBBBの中にあり、CTZはBBBの外側にある。

刺激が直接CV、またはCTZ→CVと伝達されることで嘔吐を起こす。結局はCVが嘔吐を引き起こす部位であって、CTZはそのきっかけ(引き金)でしかない。

「中枢性嘔吐と抹消性嘔吐」

嘔吐までの経路は4種類ある。中枢性と末梢性嘔吐の各2経路ずつ。

中枢性嘔吐は嗅覚やうつ、薬物が直接CTZ、CVを刺激することでおこる嘔吐のこと。

末梢性嘔吐は臓器からの迷走神経、内耳からの前庭神経を介してCTZやCVを刺激することで起こる嘔吐のこと。

そしてCTZやCVにある受容体が5種類あり、そのうち制吐薬は4種類へ作用する。

H1受容体、M受容体、ドパミンD2受容体、セロトニン5HT3受容体、ニューロキニン1受容体

ドパミンD2受容体」

中枢性の制吐作用:CTZのD2受容体をブロックすることでCVへの刺激を抑制する。

末梢性の制吐作用:消化管のD2受容体をブロックすることでアセチルコリンの遊離を促進し消化管蠕動運動を促進させ内容物の停滞を解消する。

ドンペリドン

→BBBを通過しずらいため錐体外路症状は出にくい。末梢性制吐作用が強い。

・メトクロプラミド

→BBBを通過しやすいため錐体外路症状が出やすい。ただ5HT3受容体拮抗作用(制吐作用)と5HT4受容体刺激作用(消化化運動促進作用)を併せ持つ。

・イトプリド

→CheE阻害作用を持つため消化管運動促進作用を併せ持つ。

※イトプリドとモサプリドの使い分けは?

イトプリドは上部消化管(胃)のみに作用するためGERDなどに有効。

モサプリドは5HT4刺激作用によって、上部消化管に加え下部消化管(十二指腸以下)へも作用するため便秘などにも効果がある。

 

スルピリドはどんな薬?

中脳辺縁系のD2ブロック作用(抗精神病作用)とCTZのD2ブロック作用(制吐作用)、末梢性D2ブロック作用(消化管運動促進作用)を持つ薬。胃粘膜血流改善作用もあると(適応に胃・十二指腸潰瘍あり)。モサプリド同様消化管を動かす作用もあり、メトクロプラミド同様制吐作用もあるが同時に錐体外路症状も懸念される。加えてプロラクチン値を上昇させることにより乳汁分泌や女性化乳房などの副作用もある。

スルピリドは悪心嘔吐の適応なし)

ドンペリドンとメトクロプラミドは薬剤(抗がん剤に限らない)による嘔吐にも適応を持つが、イトプリドは慢性胃炎に対する適応しかもたない。消化管内容物の停滞による嘔吐がある場合はイトプリドが最も適しているように思われる。

錐体外路障害の副作用に関して、ドンペリドンが0.1%以下、イトプリド、メトクロプラミドが頻度不明であった。構造式はどれも油の性質がありそうだがメトクロプラミドが特にBBBを通過し錐体外路症状を置きやすいとされているらしい。

「5HT3受容体拮抗薬」

抗がん剤による制吐薬の第一選択薬。遅発性の悪心・嘔吐には効果が低い。

※遅発性嘔吐とは?

抗がん剤投与後24時間~1週間程度に起こる嘔吐。24時間以内を急性嘔吐、予防投与をおこなっているのに起こる嘔吐を突発性嘔吐という

消化管・CTZの5HT3受容体を遮断し、VCへの刺激を阻害する。セロトニン受容体で嘔吐にかかわるのはサブタイプの3だけ。

・ラモセトロン

→0.1㎎錠(ナゼア)で抗がん剤の制吐薬に使用可能。さらに2.5μg、5μgの製剤(イリボー)になると過敏性腸症候群のみの適応に。量によって適応が異なる。

※イリボーはセロトニン5HT3受容体拮抗作用を示し排便亢進・下痢の抑制、大腸痛覚の過敏を抑制する。

※モサプリドは5HT4受容体刺激作用により消化管の運動機能を改善する。

・グラニセトロン

注射は「抗悪性腫瘍薬投与に伴う悪心嘔吐」と「術後の悪心嘔吐」の適応あり。内服(カイトリル錠)は「抗悪性腫瘍薬投与に伴う悪心嘔吐」の適応のみ。

→国内外のガイドラインや教科書でグラニセトロンを術後の悪心嘔吐に使用する記載があり公知申請を通して承認された。

→術後何日まで使用できるかの記載はなし。手術が原因と思われる悪心嘔吐が出た際は何日後でも使用可能と思われる。

・パロノセトロン

半減期が40時間とほかの5HT3受容体拮抗薬よりも長い。グラニセトロンよりも遅発性嘔吐に対して抑制効果がある。適応は「抗悪性腫瘍薬投与に伴う悪心嘔吐」のみ

・ラモセトロン

投与量によって適応が異なる。量が多い方(ナゼア)が「抗悪性腫瘍薬投与に伴う悪心嘔吐」の適応で、量が少ない方(イリボー)が「下痢型過敏性腸症候群」の適応。

「NK1受容体拮抗薬」

・イメンド

・プロイメンド

併用薬や投与期間、投与量などたくさんの注意が必要。ケモで使用する際は再度勉強する。

 

QH1受容体の薬で吐き気に使うものは?

Q末梢性で前庭神経を介して起こる吐き気はどうしたらよい?(セファドールとか?)

 

 

wheezeとは?

英訳:喘鳴

狭くなった気道を空気が通り抜ける時に生じる雑音です。 「ヒューヒュー」、「ゼーゼー」と聞こえます。 上気道狭窄によって生じる音をstridor、下気道狭窄によって生じる音をwheezeと呼んでいます。

麻薬について

【疼痛治療の4原則】

・経口的に

・時刻を決めて規則正しく

・患者ごとに個別的な量で

・その上で細かい配慮を

※「疼痛ラダーに沿って」は2018年削除。状態により強オピオイドからの使用を考慮するため

【麻薬】

モルヒネ

がん性疼痛基本の薬。アヘンから抽出。肝代謝型であるが、代謝物のM6Gが腎排泄型で、蓄積すると神経毒性(せん妄、眠気、悪心、呼吸抑制等)が起こる可能性があるため腎機能障害患者には投与注意。

さまざまな財形がある。

モルヒネの薬剤

アンペック、パシーフ(効果が24時間と長い)、オプソ(レスキューによく使う)など

オキシコドン

アヘン抽出物からの半合成オピオイドモルヒネに似ている。代謝物は腎排泄型だが毒性がないため腎機能障害患者に対しても使用しやすい。

オキシコンチンTR錠は乱用防止製剤でもあり、ハンマーで砕けないぐらい硬い、溶かすとゲル化するなどの工夫がされている。

鎮痛力価はオキシコドンモルヒネ=3:2

オキシコドンモルヒネの1.5倍(3/2倍)強いという意味。

オキシコドンの薬剤

オキノーム、オキシコンチン、オキファスト(オキ~とつく)

「ヒドロモルフォン

オキシコドンと同じで半合成オピオイド代謝物に若干の神経毒性あるため腎機能障害患者に注意が必要。

鎮痛力価はヒドロモルフォンモルヒネ=5:1

・ヒドロモルフォンの薬剤

ナルサス、ナルラピド、ナルベイン(ナル~とつく)

 

 

VD3製剤

「アルファロールとエルデカルシトールの違い」

どちらも活性型VD3製剤エルデカルシトールの方が骨代謝改善効果が上乗せされている。

 

どちらも腰椎骨密度上昇効果があるがエルデカルシトールの方が高い効果を発揮している。

大腿骨近位部に対してアルファカルシドールは骨密度が低下した(効果なし)が、エルデカルシトールはわずかに上昇した。

骨折リスクに関しても、エルデカルシトールの方が骨折抑制効果が高いことが示された。

→以上より骨折予防の観点からはエルデカルシトールに軍配があがる。ガイドライン的にもアルファカルシドールはB評価でエルデカルシトールはA評価である。

 

薬価的にはどちらも後発品が発売されているが、1日量でいうとそこまで変わりなし。アルファカルシドールが2.0μgまで使わなければ安く済む。

※採用薬の薬価

アルファカルシドール0.5μg 5.90円→1日0.5-2.0μgまで投与可能(最大量で考えると薬価はアルファカルシドールの方が高いか。適応によってはさらに増量できる。)

エルデカルシトール0.75μg 22.7円→1日0.5-0.75μgまで

「活性型VD3製剤とは」

腎臓での代謝を必要とせず効果を発揮するVD3(肝臓での代謝は必要だったりする)

薬の比較と使い分け

骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版

http://www.josteo.com/ja/guideline/doc/15_1.pdf

 

「VitDと甲状腺、腎機能の関係性」

アルファカルシドールに腎機能不全と副甲状腺機能低下症の適応あり。VitDがなぜこのような適応を持っているのか調査する。

「腎性骨症」

CKDになると天然型VitDの代謝活性化が阻害されるため活性型VitDが不足し電解質異常を起こす。それにより骨粗しょう症や骨軟化症をきたす。それらをまとめて腎性骨症という。

腎臓での代謝が不要な活性型VitDがこれらを改善する。

副甲状腺機能低下症」

副甲状腺はCa調整に重要なPTHを放出する器官。(もう一つCa調整に重要なホルモンとしてカルシトニンがある)

特発・原発副甲状腺機能低下症と偽性副甲状腺機能低下症の2つに大別される。特発・原発副甲状腺機能低下症はPTHの産生が低下しており、偽性副甲状腺機能低下症は受容体の方に問題があるため、むしろPTHの産生は増加している。

PTHが活性型VitDの産生亢進に関与しており、副甲状腺機能の低下は活性型VitDの低下を意味する。

→両者も治療としては活性型VitD製剤の投与となる。

「補正Ca値」

Caの半数はアルブミンなどのたんぱく質と結合して存在している。効果を発揮するのは遊離Caでありその値が重要だが、測定が面倒なため総Ca濃度(遊離&結合Ca)を測定している。

低ALB血症では、遊離Ca濃度は問題ないが総Ca濃度は低下するため、見かけ上の低Ca血症となる。そのため補正Caを用いる。

薬が見える、病気が見える

「カルシトニン」

甲状腺の傍濾胞細胞からでているホルモン。骨形成促進、VitD活性の抑制、Ca排泄促進、再吸収抑制効果により血中のCa濃度を下げる作用がある(PTHと逆の作用)

同効薬にオルケディア、パーサビブあり。

【人体】副甲状腺ホルモンとカルシトニン – SGSブログ

「オルケディア、パーサビブ」

透析患者でオルケディア、パーサビブをよく見るがなぜ?調査する。

「透析と副甲状腺機能亢進症の関係性」

PTHは血中Ca上昇、血中P低下作用を示す。

腎機能が低下することにより活性型VitD3の産生低下がおきCaの吸収量が低下することにより血中のCa濃度が低下。Pの排泄が抑制されることにより血中P濃度が増加。これらを是正するためにPTHの分泌が増加するが、長年経過することによりPTHがCaやP濃度にかかわらず過剰分泌する二次性副甲状腺機能亢進症へとつながる。

ゆえに透析になるほど腎機能低下が起これば、PTHの分泌過多により副甲状腺機能亢進症へとつながる。

透析と副甲状腺機能亢進症
「レパグラ(シナカルセト)とオルケディアの違い」

適応は同じ。オルケディアの方が併用注意約が少ない。消化管障害の副作用がオルケディアの方が少ないように感じる。

臨床試験ではオルケディアの非劣勢が示されただけ。ただ副作用や併用薬を見るとオルケディアの方が使いやすいかもしれない。当院でもレパグラの採用はなくオルケディアは採用あり。

「オルケディアではなくパーサビブを使うメリット」

パーサビブは世界初のカルシウム受容体作動薬の注射剤。週3回の透析時の投与で完結することからコンプライアンスの向上と患者の薬剤服用負担の軽減に役立てることができる。

オルケディア1㎎ 271.9円

パーサビブ2.5㎎ 730円

パーサビブの方が若干高くつくだろうが薬価的にはそんなに大きな違いはないだろう。やはりコンプライアンスのところが選ぶ基準になるかもしれない。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/150/2/150_98/_pdf