せん妄
「知りたいこと」
・DMのなし、内服可能患者で腎機能でリスペリドンとルーランを分ける理由(京大リエゾンチームより)→OK
・せん妄時の具体的薬剤と量、それぞれの注意点、禁忌
・京大病院のせん妄のPDFを見る
【せん妄とは】
身体的要因や薬剤が原因となり、急性に発症する意識障害、注意障害のこと。
※せん妄と不穏の違い
不穏とは、活動的となり落ち着きがない様子のこと。不穏の原因が過活動型せん妄である可能性もある。
【せん妄3タイプ】
過活動型せん妄→暴力、暴言、幻覚、妄想
低活動型せん妄→意識もうろう、活動量低下
混合型せん妄→上記2つの混合型
【せん妄原因薬剤】
【せん妄の治療】
※以下薬がみえるより
内服不可→ハロペリドール静注
内服可能→興奮(+)リスペリドン、クエチアピンなど 興奮(-)ミアンセリン、トラゾドンなど
※以下月間薬事2023年11月号より

・低活動型せん妄の不眠に対して「トラゾドン」「ヒドロキシジン注」の使用が選択されている。BZD系や非BZD系は使用しない眠剤を選択している。
・詳しい量の記載はないため、その他本を参考にするしかない。
→(例を参考に)クエチアピン25㎎1錠分1夕食後、リスペリドン0.5-1㎎1錠分1夕食後、ハロペリドール5㎎注(0.5-1A)+生食50ml 30分または1時間かけて点滴、ペロスピロン4㎎1錠分1夕食後
「薬物の特徴」
・クエチアピン:α1、H1ブロック作用により鎮静作用が強い。しかし、幻覚・幻視への効果は弱い。半減期が短いため翌日への持ち越し効果が少ない。DMが禁忌であることに注意。
・リスペリドン:鎮静作用は弱い。しかし幻覚・幻視への効果は強い。日中のせん妄などで、リスペリドンでも過鎮静になる際は、リスペリドンよりも半減期が短いペロスピロン(ルーラン)を用いるのがよい。
リスペリドンt1/2:約20時間
ルーランt1/2:約8時間
・ペロスピロン:作用はリスペリドンと同様。リスペリドンが腎排泄型のため、腎障害がある際はペロスピロンを選択する。
「術後せん妄」
対応は上記と同じでよいだろう。デクスメデトミジンが鎮静を得るのに効果的との報告もあり、ICUなどでは使用されるケースもある
※アルコール依存によるせん妄に対しては、ジアゼパムが適応となる。
※京大より

・投与間隔と投与上限回数の記載まである。投与量に関してはほかの資料と似ており、幅があるものに関しては少なめの量を記載している。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000140619.pdf(BPSDに対する向精神薬使用ガイドライン第2版)
https://www.hospital.or.jp/pdf/14_20110928_01.pdf(クエチアピン、ハロペリドール、ペロスピロン、リスペリドンがせん妄・精神運動興奮状態・易怒性に対して処方されても保険審査を認めるとの通達)
不眠時の対応
「知りたいこと」
・睡眠薬中断方法
・睡眠衛生指導方法
・睡眠障害をもたらす薬剤
【薬物治療】
睡眠を促す受容体はGABA受容体、メラトニン受容体、オレキシン受容体をはじめ、H1受容体、α受容体、5-HT2A受容体がある
ベンゾジアゼピン受容体作動薬
分類
「長短時間作用型」
・非ベンゾジアゼピン系薬のゾピクロン、エスゾピクロン、ゾルピデムがある。
・半減期は2-5時間→持ち越し効果がおきずらい
→エスゾピクロン:半減期が5時間と長め。中途覚醒にも効果がある。
→ゾルピデム:半減期が2時間と非常に短い。入眠障害に使う。肝機能障害で著しいAUCなどの増加がみられたため、BZD系薬の中で唯一重度の肝機能障害に対して禁忌に該当している
・トリアゾラムは第3種で金庫管理。(ゾルピデムも第3種向精神病薬の分類だがこれは金庫管理じゃなくていいのか?)
→作用発現が10-15分とかなり早い。しかし中途覚醒や日中不安が起きやすいことに注意。
→併用禁忌にCYP3Aを強力に阻害する薬剤がある(その他BZD系薬ではリトナビルぐらいあるが、ここまで大量にあるのはトリアゾラムだけ)
・非BZD系薬は反跳性不眠や退薬症状が起きにくい。
「短時間作用型」
・半減期は6-10時間→持ち越し効果がまだ起きずらい
「中間作用型」
・半減期は20-30時間→4-5日連用で定常状態に。
・反跳性不眠や退薬症状が出た際には作用時間の長い薬に変更して徐々に減量したりする
「長時間作用型」
・半減期は50-100時間→1週間連用で定常状態に。日中も高い濃度を維持する。
使い分け
・不眠のタイプ(入眠障害、中途覚醒、早期覚醒)で分けるのが一般的。
ex.入眠障害には超短時間、短時間作用型など
・不眠症は持続期間で3タイプに分けれる。
→一過性不眠:旅行による時差ぼけや手術時などの一時的な緊張で数日間のみ現れる不眠。入眠障害多い。薬は基本使わないが、症状により超短時間型、短時間型を使用
→短期不眠:長時間のストレスなどが原因で1-3週間ほどの不眠。不眠のタイプで使用する薬剤を使い分ける
→長期不眠:1か月以上の不眠。精神疾患、身体疾患、加齢などが原因。抗精神薬や抗うつ薬などは睡眠を深くする作用がある。精神疾患によって不眠が続く際は鎮静作用の強い抗精神薬などを併用したり、中間・長時間作用型を使用するケースが多い。
睡眠薬の離脱方法
漸減法:徐々に容量を落としていく
隔日法:量は同一だが、服用間隔を徐々に伸ばしていく
上記の併用:徐々に減量しながら服用間隔も伸ばす
・病院での離脱プロトコールの例(以下写真2つ)


または以下の資料参考

不眠症の診断・治療(京大病院資料)
解毒薬
フルマゼニル
注意点
・アルコールもベンゾジアゼピン系と同じ作用部位に作用するため、併用はしないこと。死亡例あり。
・睡眠時無呼吸症候群による不眠に対して使用すると無呼吸症状悪化のリスクがある(添付文書に禁忌や注意の項目なし)
受容体
ω1:催眠、鎮静作用
ω2:筋弛緩、抗不安、抗けいれん作用
BZD系薬は非選択的作用なものが多いが、ω2への作用が大きいものは抗不安作用を示す。その代わり筋弛緩作用による転倒に注意が必要
非BZD系薬はω1に比較的選択的なため、抗不安作用は弱いが転倒リスクは低い
メラトニン受容体作動薬
MT1受容体:入眠促進作用、睡眠持続作用
MT2受容体:概日リズム調整作用
BZD系薬のような副作用を起こしずらい。
抗ヒスタミン薬
・ヒドロキシジン(アタラックスP)
→個体差が大きく全く効かない症例も
抗精神病薬
・精神疾患の不眠に対して使用する。
・フェノチアジン系(レボメプロマジン:ヒルナミン、レボトミン、クロルプロマジン:コントミン)
→H1、α-1ブロック作用あり強力な鎮静作用を持つ。血圧低下や錐体外路症状に注意が必要。
・MARTA(クエチアピン:セロクエル)
→不眠に対して1回25㎎を眠前に投与。DM患者に禁忌
抗うつ薬
・うつのない人には原則使用しない。
・抗うつ薬による催眠作用
→①抗コリン作用によるレム睡眠の抑制 ②H1、5-HT2A,2Cブロック作用による睡眠維持作用、睡眠深度維持作用
「薬剤」
・クロミプラミン(アナフラニール)、イミプラミン(トフラニール)
→強力なレム睡眠抑制作用があり、ナルコレプシーなどでも使用。睡眠後半の中途覚醒増加や夢に関連した夜尿など、レム睡眠の抑制を目的とする場合に使用する
→眠前10-25㎎内服。耐性は気にしなくてよい。効果も抗うつや作用と異なり初日からでる
・アミトリプチン(トリプタノール)
→レム睡眠抑制作用は強くないが鎮静催眠作用は強い。睡眠導入・維持、睡眠深度増強の目的で使用。
→適応は、BZD系薬の効果不良例、熟眠障害、睡眠前半での高頻度中度覚醒
→希死念慮などに注意(積極的に提案しない方がよいかも)
→アミトリプチンと同様の鎮静催眠作用。しかし抗コリン作用は小さいため安全に使用可能。
→適応は、BZD系投与でせん妄や意識障害が誘発されるような場合(あまり使う場面はないか)
・ミルタザピン
→ミアンセリンと同様の鎮静催眠作用。強い抗うつ作用を持ち個体差も大きいため精神科医以外での処方は控えた方がよい(眠剤としては提案不可)
→睡眠時無呼吸症候群の無呼吸症状の悪化リスクあり。
→アミトリプチンやミアンセリンと同様の作用だが、強さはそこまでない。比較的安全に投与可能。
→眠前に25-50㎎程度を投与。依存性、耐性は問題にならない。
https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1200070570.pdf(不眠症治療における鎮静系抗うつ薬)
https://drive.google.com/file/d/1LApAVnvoAhrVVy-kR6kr-yvagu3i8cOh/view(薬局2018 69-4 統合失調症)
実際の使用例
・ADL自立。ICUへ緊急入院の患者。
→ラメルテオン、デエビゴ
解説:ICUではモニター音や光なども多く、環境変化によるせん妄を起こしやすい環境だといえる。そのためBZD系薬は使いづらい。
・COPD治療中に、合併する間質性肺炎が増悪。ステロイドパルス目的で緊急入院
→トラゾドン25㎎ 1錠/回 眠前 、 トラゾドン25㎎ 1錠/回 頓服
解説:COPD患者ではCAMが使用されるケースが多くデエビゴも2.5㎎までしか使用できない(容量の調節ができない)。トラゾドンは5-HT2ブロック作用が強く抗コリン作用や筋弛緩作用も弱いため25-50㎎で開始する。100-150㎎までは比較的安全に使用可能。本患者もステロイドパルスでせん妄リスク高いためBZD系薬は避けたい。
【睡眠衛生指導(入院中のみ)】
※睡眠障害の対応と治療ガイドラインにはこれといった内容は記載なし
日本睡眠学会が出している「睡眠薬の適正な使⽤と休薬のための診療ガイドライン(以下URLのP9)」に睡眠衛生指導の内容がある
https://www.jssr.jp/files/guideline/suiminyaku-guideline.pdf
【レストレッグ症候群】
レストレッグ症候群も不眠の原因として挙げられる。
何かあれば適宜調べる
【レム睡眠行動異常症】
適宜調べる
デエビゴの相互作用(CYP3A4相互作用について)
デエビゴの相互作用を示す薬剤一覧
→デエビゴ適正使用ガイド
https://www.info.pmda.go.jp/go/rmp/material/facf63ed-e5c7-4768-aad3-30ddbd8b716d
抗精神病薬について
【目標】
・統合失調症について知る(病態生理、症状、治療ゴール)→解決済み
・医薬品の作用機序を知る→済み
・医薬品の副作用、禁忌を知る→済み
・それぞれの医薬品の特徴を知る→済み
・せん妄時の対応について学ぶ(薬剤選択、その用法用量)
【統合失調症について】
統合失調症とは?:幻覚などの陽性症状、感情鈍麻などの陰性症状や認知機能障害を呈する精神疾患。初発は10-30代と比較的若い年齢で発症することが多い。
統合失調症を含めた精神病のゴールは完全寛解、または社会的な寛解。
寛解とは?:全治ではないが、症状が治まっておだやかな状態。
→完全に治すことはできないが、精神病を患っていない人と同じような生活を送れるようにすることってイメージ。
判断のツール:様々な評価尺度がある。ex.DSM-5、簡易精神症状評価尺度、陽性・陰性症状評価尺度
「病態生理」
脳内には、4つのドパミン経路がある。
・中脳辺縁系(脳の前の下):機能過剰で陽性症状。報酬系にも関与
・中脳皮質系(脳の外側):機能低下で陰性症状、認知機能障害に関与
・黒質線条体系(脳の中心):機能過剰がチックや強迫性障害、機能低下がパーキンソン病や抗精神病薬によるパーキンソニズムに関与
・漏斗下垂体系(脳の前の下):機能低下が高プロラクチン血症に関与
※プロラクチンの役割:乳腺の発達や母乳の生成
→出産後の乳児の成長に必要なものを用意するホルモン。この時期に再度出産すると母体への影響が大きいため妊娠しにくい状態にもする(排卵を抑える)
※高プロラクチン血症とは:乳汁など必要とする状況ではないがプロラクチンの値が高い状態。乳汁分泌や性腺機能抑制効果により排卵障害、月経不順、性欲減退が起きやすい。不妊の原因にもなる。
※下垂体はBBBの外側のため、脂溶性が低い薬物でも影響を受けやすい。
抗精神病薬のメカニズムと特徴 | 薬物療法 | 統合失調症の治療方法 | これから診断・治療へと進む患者さん | 統合失調症ナビ
原因不明だがドパミン仮説が最も有力。
→ドパミンの過剰伝達により、中脳辺縁系が過剰活動(陽性症状)を起こす。
「症状」
陽性症状:幻覚、妄想など →支離滅裂なことや被害妄想を言ったり。
→中脳辺縁系の過剰活動
陰性症状:感情鈍麻、思考・会話の貧困 →喜怒哀楽がない、返答が単調・なし。
認知機能障害:上記とは区別される。集中力や言葉の流暢性が失われる。
→中脳皮質系の活動低下
「ドパミン受容体」
D1~D5がある。
D1、D5:抑制性に関与
D2~4:興奮性に関与
→抗精神病薬はD2ブロックを主な作用としている。
【抗精神病薬】
「抗精神病薬の種類」
・定形(第一世代)抗精神病薬
フェノチアジン系、ブチロフェノン系、ベンズアミド系
・非定形(第二世代)抗精神病薬
多元受容体作用抗精神病薬(MARTA)
セロトニンードパミンアクティビティモジュレーター(SDAM)
※せん妄、治療抵抗性・精神病性うつ病にも使われる
※薬物治療は非定形抗精神病薬の単剤投与が基本
「抗うつ薬」
ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)
ベンズアミド系抗精神病薬
※強迫性障害や不安障害、慢性疼痛にも適応があったりする。
「作用機序」
・D2ブロック作用
→抗精神病作用(陽性症状に対する効果)。ほぼすべての抗精神病薬に共通する。
→副作用:錐体外路症状(黒質線条体系抑制のため)、高プロラクチン血症(漏斗下垂体系抑制のため)
・セロトニン5-HT2受容体ブロック作用
→副作用:体重増加、高血糖
※特にMARTAで食欲増進・体重増加が起きやすく、インスリン抵抗性の亢進もありDM患者には禁忌。(MARTAでもアセナピンはDM患者にも使える)
・ヒスタミンH1受容体ブロック作用
→鎮静
・アドレナリンα1受容体ブロック作用
→鎮静
※緊急時を除くアドレナリンが禁忌になる
・アセチルコリンM受容体ブロック作用
→副作用の錐体外路症状の緩和
「薬の特徴」
定形(第一世代):強力なD2ブロック作用。陽性症状の持続的なコントロールが可能に。しかし陰性症状や認知機能障害に対する効果は乏しく、錐体外路症状や高プロラクチン血症の副作用が出やすい。
非定形(第二世代):D2ブロック作用以外に5-HT2ブロック作用などあり。陽性症状に加え陰性症状や認知機能障害のも効果あり。錐体外路症状や高プロラクチン血症の副作用も出にくい。しかし高血糖や体重増加の副作用が出やすい。
→統合失調症の第一選択
「定形抗精神病薬」※代表薬剤のみ
・フェノチアジン系抗精神病薬:クロルプロマジン(コントミン)
作用:D2ブロックによる陽性症状の鎮静、CTZのD2ブロックによる制吐作用、H1・α1ブロック作用による鎮静・体温下降作用(この作用が特に強い)
適応:統合失調症のほかに、悪心・嘔吐や不安・緊張、催眠もある。
※制吐作用:外科手術、放射線、化学療法に有効。動揺病には無効。
作用:D2ブロックによる陽性症状の鎮静、CTZのD2ブロックによる制吐作用
※H1・α1ブロック作用による鎮静・体温下降作用は弱い
副作用:D2ブロック作用が強力なため錐体外路症状、高プロラクチン血症が生じやすい
適応:統合失調症、躁病のみ ※内服・点滴で同じ
※ハロペリドールは抗精神病薬で唯一の静注製剤がある→内服不能なせん妄へ使用
※上記2つはα1ブロック作用によりアドレナリンと禁忌。しかしアナフィラキシー時は使用可能。その他ノルアドレナリンや昇圧薬(リズミックやエホチール)に関しては、不思議だが禁忌にも併用注意にも入っていない。
作用:D2ブロックによる陽性症状の鎮静、CTZのD2ブロックによる制吐作用
(低用量)末梢性D2ブロックによる消化管運動促進作用、胃血流改善作用
→ほとんどが消化性潰瘍の適応で使ってるイメージ。適応でも消化性潰瘍と統合失調症では量が全然異なる。
副作用:高プロラクチン血症が起こりやすい。(長期投与で)錐体外路症状
「非定形抗精神病薬が作用する仮説」
定形と非定形抗精神病薬の違いを説明する仮説として、セロトニン・ドパミン仮説、急速解離仮説がある

黒質線条体系、中脳皮質系はセロトニン神経により抑制を受けている
5-HT2ブロック作用により黒質線条体系への抑制の解除(錐体外路症状の防止)
中脳皮質系の抑制解除により陰性症状、認知機能障害を改善
中脳辺縁系ドパミン神経はセロトニンの抑制を受けないため抗精神病効果は弱められない。
→急速解離仮説
クロザピン、クエチアピン、ペロスピロンはD2受容体を占拠したのち、速やかに解離する性質を持つ。これにより錐体外路障害や高プロラクチン血症などの副作用が起きずらい。リスペリドンやブロナンセリン、オランザピンは休息解離には当てはまらない。
「非定形抗精神病薬」※代表薬剤のみ
・セロトニン・ドパミン拮抗薬(SDA):リスペリドン、ペロスピロン(ルーラン)、ブロナンセリン(ロナセン)、ルラシドン(ラツーダ)
作用:D2ブロックによる陽性症状の鎮静、5-HT2ブロック作用による陰性症状改善作用(D2ブロック作用 < 5-HT2ブロック作用)
※ブロナンセリンのみ:D2ブロック作用 > 5-HT2ブロック作用
副作用:錐体外路症状、高プロラクチン血症は第一世代と比べて起きにくいが、非定形の中ではD2ブロック作用が強く起こりやすい。
・多元受容体作用抗精神病薬(MARTA):クロザピン(クロザリル)、オランザピン(ジプレキサ)、クエチアピン(セロクエル)、アセナピン(シクレスト舌下錠)
作用:D2、5-HT2、H1、α1、M受容体以外のも様々な受容体に作用する

※シクレストの代替としてクエチアピンに変更するのが良いか。
適応:(統合失調症に加え)治療抵抗性統合失調症(クロザピンのみ)、抗がん剤による消化器症状(オランザピン)
禁忌:DM(オランザピン、クエチアピン)
副作用:体重増加、高血糖、DKA、(クロザピンのみ)心筋炎、心筋症、無顆粒球症
・ドパミン受容体部分作動薬(DPA):アリピプラゾール(エビリファイ)
作用:D2部分作動薬→ドパミン神経のバランスを調整、5-HT2ブロック作用による陰性症状改善作用
※D2部分作動薬とは?:ドパミン濃度が高いと拮抗的に、低ければ作動的に。
適応:統合失調症とうつ
副作用:錐体外路障害や高プロラクチン血症もそうだが、高血糖や体重増加も比較的少ない。
・セロトニン-ドパミンアクティビティモジュレーター(SDAM):ブレクスピプラゾール(レキサルティ)
作用:D2部分作動薬(弱い)、5-HT2ブロック作用による陰性症状改善作用、5-HT1部分作動薬
適応:統合失調とうつ
副作用:エビリファイと同様
※レキサルティはエビリファイよりD2部分作動作用が小さいため、錐体外路症状などの副作用はより起きずらく、5-HTへの作用が強いため耐糖能異常なども起きずらい。副作用をより起きずらくした製剤の立ち位置。
「切り替え(スイッチング)、減量時の対応」
減量時
SCAP法を使用する。
・CP換算(クロルプロマジン100㎎に対する等価量)10㎎未満(高力価)→1週あたりCP換算で50㎎以下で減量
・CP換算10㎎以上(低力価)→1週あたりCP換算で25㎎以下で減量
切り替え時(スイッチング)
急速中断漸増法:被置換薬に副作用が生じた、または半減期が長い薬に対して行う。
→被置換薬を一気に中止し、置換薬を目標量まで漸増していく。
漸減漸増法:同じ薬理作用の薬に変更する際におすすめ。
→被置換薬の漸減と置換薬の漸増を一緒に行う。この時CP換算は同じ値をキープするのがベスト。デメリットとして副作用が出た際、原因薬物がどちらか不明。
上乗せ後漸減中止法:異なる薬理作用の薬に変更する際におすすめ。
→まずは置換薬を開始。漸増を開始するタイミングで被置換薬を漸減していく。デメリットとして一時的に副作用が起きやすくなる。
※考え方
CP換算を用いて被置換薬と同程度の力価になるようにするのが一般的。
総CP換算量が1000㎎を超えると効果が頭打ちになり副作用が増えるようになる。(天井効果がある)
総CP換算量が600㎎以下でQOLが良いとの報告も。
レシピ+2016年vol.15 No.3
医薬品の自己回収
自己回収される際に、どの程度の健康被害を及ぼすかでクラス分類される。Ⅰ~Ⅲがあり、Ⅰが死亡の可能性があるなど一番重く、Ⅲが健康被害は考えられないとされる一番軽いもの。
ex.ジクアスLX
防腐剤濃度の不均一→クラスⅡ
ジクアスLX点眼液3%の自主回収(クラスⅡ)について:頻用されるドライアイの目薬です | 芦屋川眼科l阪急芦屋川駅近く北へ徒歩1分、眼科・小児眼科、予約診療も有り
ビーフリードとパレプラス
【ビーフリードとパレプラスの違い(添付文書)】
・含有するビタミンの種類
→ビーフリードはVB1のみ。パレプラスはVB1・2・3・5・6・7・12、VC、葉酸を含むVB群を含む。VB1の量ではパレプラスがビーフリードの約2倍含有している。
・禁忌
→パレプラスはVB5を含んでおり、出血時間を延長させる可能性があることから「血友病」が禁忌に該当している。それ以外は同じ。
【薬剤費】
※薬価は2024年のもの
ビーフリード500ml:539円 →2本:1,078円
パレプラス1L:890円
ビーフリード1L(500ml×2本)とパレプラス1Lで差額188円
【看護師の手順】
・ビーフリード500ml2本
→投与準備2回
・パレプラス1L
→投与準備1回
【下室液に入っている成分(未開通投与時のリスク)】
・ビーフリード
容量:350mL
糖質:ブドウ糖 37.499g(10.7%)
電解質:
塩化カリウム 0.317g
塩化カルシウム水和物 0.184g
硫酸マグネシウム水和物 0.308g
硫酸亜鉛水和物 0.70mg 1.40mg
0.96mg(0.75mg)
添加剤
塩酸 適量 適量
水酸化ナトリウム 適量 適量
・パレプラス
容量:300ml(パレプラスの方が容量は多いが下室液の量は少ない)
リン酸二カリウム 1.740g
アスコルビン酸 100mg
葉酸 0.2mg
ビオチン 50μg
ニコチン酸アミド 20mg
亜硫酸水素ナトリウム(安定剤) 15mg
クエン酸水和物(pH調節剤) 適量
【感染リスク】
作業工程と事故や感染は強い相関がある。
(経腸経静脈栄養ガイドラインより)
→作業工程(輸液の入れ替え)を減らすためにパレプラスに変える方がよいか。
消炎鎮痛薬の外用剤
消炎鎮痛薬は局所作用するものから全身移行性のあるものまで多岐にわたる。移行性があるものに対しては内服の鎮痛薬と併用しない方がよい場合があるため、外用剤の移行性、内服と併用可能か調べる
【NSAIDs外用製剤】※赤字は当院採用
・エスフルルビプロフェン・ハッカ油(ロコアテープ)
・ロキソプロフェン(テープ)
・ケトプロフェン(モーラステープL)
・フルルビプロフェン(アドフィードパップ)
・フェルビナク(パップ、スチック軟膏)
・ジクロフェナク(ジクロフェナクテープ、ジクトルテープ)
【製剤の特徴】
「ロコアテープ」
・適応:変形性関節症における鎮痛・消炎(のみ!)
・1日1回2枚まで。
→2枚貼付で内服薬(フロベン)通常量投与と同程度の血中濃度を示すため。
→内服薬と併用は避ける。やむを得ず併用する際は最小限に。(大正製薬 製品FAQ)
・光線過敏症についての記載なし(添付文書)
https://www.pa-solution.net/alphascope/taisho/faq/Search.aspx?dispNodeId=1171
「ロキソプロフェンNaテープ」
・適応:変形性関節症、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛(ロコアより多い)
・ロキソニンパップ100㎎1日1回貼付群がロキソニン錠60㎎3錠分3の群に非劣勢であることが示された。(貼付剤が24時間持続する?)
・1日1回(枚数制限は記載なし)
→テープ400㎎を貼付したロキソプロフェンCmax:89.2ng/ml、ロキソニン錠60㎎1錠単会投与後のCmax:5.04μg/mlで56倍の差。テープの方が血中濃度の維持時間が長いため単純に比較は難しいがあまり吸収量はそこまで気にしないでよいだろう。
・光線過敏症についての記載なし(添付文書)
https://www.medicalcommunity.jp/products/faq/drugsearch?faq_drug=loxonin_pap_tape_gel
「モーラステープ(ケトプロフェン)」
・適応:腰痛症(筋・筋膜性腰痛症、変形性脊椎症、椎間板症、腰椎捻挫)、変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎(テニス肘等)、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛 / 関節リウマチにおける関節局所の鎮痛
※RAや腰痛症など適応が多い!
・1日1回(枚数制限なし)
→モーラステープ20㎎でCmax:135.85ng/mL、ケトプロフェン坐剤でCmax:3.71μg/mlで234倍の差がある。吸収量はそこまで気にしなくてよいだろう。内服との併用も可能と判断する。
・副作用:光線過敏症に注意!(こいつだけ?)
→原因はベンゾイル基。ロキソプロフェンやフルルビプロフェンはその構造がないため光線過敏症が起きない!(詳細は以下URL)
・光線過敏症の対策:アレルギー反応のため起こるかどうか個人差がある。貼付終了後1週間までの報告が多数あるが、4週間先まで報告例あり。貼付終了後も4週間は紫外線を避ける。
https://www.hisamitsu.co.jp/medical/data/hisamitsu-anzentokusyuu.pdf
「フルルビプロフェン(アドフィードパップ)」
・適応:変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎(テニス肘等)、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛
※ロキソプロフェンより多いがRAの適応はなし
・1日2回(枚数制限なし)
→内服薬と比べ、上記2剤同様血清中濃度はかなり低い。内服薬と併用可能と判断する
「フェルビナク(パップ、スチック軟膏)」
・適応:変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎(テニス肘等)、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛
※アドフィードパップと同じ(テープとパップは適応同じ)
・パップ:1日2回(枚数制限なし) スチック軟膏:1日数回
→内服薬と比べ、上記2剤同様血清中濃度はかなり低い。内服薬と併用可能と判断する
・ジクロフェナク(ジクトルテープ)
・適応:各種がんにおける鎮痛 / 腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎
※がんの適応があるのはこれだけ。逆にどれも持っている変形性関節症の適応はなし
・がん:1日2-3枚 それ以外:1日1-2枚
→1日3枚貼付でジクロフェナク内服の通常量と同程度の血中濃度。可能な限りほかの鎮痛薬の併用は避ける。(併用注意)
→しかし、定常状態の血中濃度に上がるまで7日ほど要す。3日ほど内服薬とかましてもよいと(MRより)