VD3製剤

「アルファロールとエルデカルシトールの違い」

どちらも活性型VD3製剤エルデカルシトールの方が骨代謝改善効果が上乗せされている。

 

どちらも腰椎骨密度上昇効果があるがエルデカルシトールの方が高い効果を発揮している。

大腿骨近位部に対してアルファカルシドールは骨密度が低下した(効果なし)が、エルデカルシトールはわずかに上昇した。

骨折リスクに関しても、エルデカルシトールの方が骨折抑制効果が高いことが示された。

→以上より骨折予防の観点からはエルデカルシトールに軍配があがる。ガイドライン的にもアルファカルシドールはB評価でエルデカルシトールはA評価である。

 

薬価的にはどちらも後発品が発売されているが、1日量でいうとそこまで変わりなし。アルファカルシドールが2.0μgまで使わなければ安く済む。

※採用薬の薬価

アルファカルシドール0.5μg 5.90円→1日0.5-2.0μgまで投与可能(最大量で考えると薬価はアルファカルシドールの方が高いか。適応によってはさらに増量できる。)

エルデカルシトール0.75μg 22.7円→1日0.5-0.75μgまで

「活性型VD3製剤とは」

腎臓での代謝を必要とせず効果を発揮するVD3(肝臓での代謝は必要だったりする)

薬の比較と使い分け

骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版

http://www.josteo.com/ja/guideline/doc/15_1.pdf

 

「VitDと甲状腺、腎機能の関係性」

アルファカルシドールに腎機能不全と副甲状腺機能低下症の適応あり。VitDがなぜこのような適応を持っているのか調査する。

「腎性骨症」

CKDになると天然型VitDの代謝活性化が阻害されるため活性型VitDが不足し電解質異常を起こす。それにより骨粗しょう症や骨軟化症をきたす。それらをまとめて腎性骨症という。

腎臓での代謝が不要な活性型VitDがこれらを改善する。

副甲状腺機能低下症」

副甲状腺はCa調整に重要なPTHを放出する器官。(もう一つCa調整に重要なホルモンとしてカルシトニンがある)

特発・原発副甲状腺機能低下症と偽性副甲状腺機能低下症の2つに大別される。特発・原発副甲状腺機能低下症はPTHの産生が低下しており、偽性副甲状腺機能低下症は受容体の方に問題があるため、むしろPTHの産生は増加している。

PTHが活性型VitDの産生亢進に関与しており、副甲状腺機能の低下は活性型VitDの低下を意味する。

→両者も治療としては活性型VitD製剤の投与となる。

「補正Ca値」

Caの半数はアルブミンなどのたんぱく質と結合して存在している。効果を発揮するのは遊離Caでありその値が重要だが、測定が面倒なため総Ca濃度(遊離&結合Ca)を測定している。

低ALB血症では、遊離Ca濃度は問題ないが総Ca濃度は低下するため、見かけ上の低Ca血症となる。そのため補正Caを用いる。

薬が見える、病気が見える

「カルシトニン」

甲状腺の傍濾胞細胞からでているホルモン。骨形成促進、VitD活性の抑制、Ca排泄促進、再吸収抑制効果により血中のCa濃度を下げる作用がある(PTHと逆の作用)

同効薬にオルケディア、パーサビブあり。

【人体】副甲状腺ホルモンとカルシトニン – SGSブログ

「オルケディア、パーサビブ」

透析患者でオルケディア、パーサビブをよく見るがなぜ?調査する。

「透析と副甲状腺機能亢進症の関係性」

PTHは血中Ca上昇、血中P低下作用を示す。

腎機能が低下することにより活性型VitD3の産生低下がおきCaの吸収量が低下することにより血中のCa濃度が低下。Pの排泄が抑制されることにより血中P濃度が増加。これらを是正するためにPTHの分泌が増加するが、長年経過することによりPTHがCaやP濃度にかかわらず過剰分泌する二次性副甲状腺機能亢進症へとつながる。

ゆえに透析になるほど腎機能低下が起これば、PTHの分泌過多により副甲状腺機能亢進症へとつながる。

透析と副甲状腺機能亢進症
「レパグラ(シナカルセト)とオルケディアの違い」

適応は同じ。オルケディアの方が併用注意約が少ない。消化管障害の副作用がオルケディアの方が少ないように感じる。

臨床試験ではオルケディアの非劣勢が示されただけ。ただ副作用や併用薬を見るとオルケディアの方が使いやすいかもしれない。当院でもレパグラの採用はなくオルケディアは採用あり。

「オルケディアではなくパーサビブを使うメリット」

パーサビブは世界初のカルシウム受容体作動薬の注射剤。週3回の透析時の投与で完結することからコンプライアンスの向上と患者の薬剤服用負担の軽減に役立てることができる。

オルケディア1㎎ 271.9円

パーサビブ2.5㎎ 730円

パーサビブの方が若干高くつくだろうが薬価的にはそんなに大きな違いはないだろう。やはりコンプライアンスのところが選ぶ基準になるかもしれない。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/150/2/150_98/_pdf